出向と就業規則の関係
会社員が出向するときに、よく疑問に上がるのが、「出向元と出向先のどちらの就業規則が適用されるのか?」という問題です。
原則として、身分関係については「出向元」、就業規則などの勤務関係については「出向先」を適用しますが、例外もありますので解説します。
解説
出向は、従業員が出向元との労働契約に基づく身分を残したまま出向します。
さらに、出向先との間に労働契約を成立させます。
そして、従業員は、出向先の指揮命令のもとに労務を提供することになります。
労働契約は二重
上記のように、それぞれの会社で労働契約がありますので、二つの労働契約が存在することになります。
二つの労働関係があるので、双方の就業規則の適用を受ける可能性があることになります。
ただ、出向元と出向先のどちらの就業規則が適用されるかついては、特別に、法律で定められているわけではありません。
出向契約により決まる
就業規則の適用については、通常は、出向元と出向先による出向契約により決定します。
したがって、出向する労働者としては、どちらの規定が適用されるかを確認しておくことが大切です。
なぜなら、もし何か労働基準法上のトラブルが発生したときに、その責任が、どちらにあるのかを明らかにして把握しておく必要があるです。
実態は
多くの会社では、勤務時間、休憩、休日、休暇、服務規律などについては「出向先」の就業規則を適用しているのが一般的です。
また、身分関係は出向元にあるため、退職、定年、解雇などの身分に関することについては「出向元」の規定が適用されるのが一般的です。
関連法令
民法第 625 条、労基法第 89 条 、労働契約法第 14 条