国家公務員が合法的にできる自営業(副業)
国家公務員への就職を考えるとき、気になることの一つが、副業(兼業)の禁止と思われます。
たしかに、国家公務員の副業を禁止する法律は存在します。
それは、国家公務員法103条1項(私企業からの隔離) と104条(他の事業又は事務の関与制限)です。
例外あり
これらの法律があることから、一般的には、国家公務員は副業できないと思われています。
しかし、実はこれらの法律で禁止されていない副業があります。
それは、人事院事務総長から、すべての国家公務員に向けて発せられている「人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」の記載から判断できます。
規制される自営業
この人事院規則には、国家公務員が自営業を営むときに、その自営業を「副業」として認定する場合を記載しています。
具体的には、以下の自営行為を「副業」と判断すると規定されています。
1.不動産の賃貸が次のいずれかに該当する場合
イ 独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること。
ロ 独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること。
ハ 土地の賃貸については、賃貸契約の件数が10件以上であること。
ニ 賃貸に係る不動産が劇場、映画館、ゴルフ練習場等の娯楽集会、遊技等のための設備を設けたものであること。
ホ 賃貸に係る建物が旅館、ホテル等特定の業務の用に供するものであること。
2.駐車場の賃貸が次のいずれかに該当する場合
イ 建築物である駐車場又は機械設備を設けた駐車場であること。
ロ 駐車台数が10台以上であること。
3.不動産または駐車場の賃貸に係る賃貸料収入がある(これらを併せて行つている場合には、これらの賃貸に係る賃貸料収入の額の合計額)
年額500万円以上である場合
4.太陽光電気(太陽光発電設備を用いて太陽光を変換して得られる電気)の販売
販売に係る太陽光発電設備の定格出力が10キロワット以上である場合
規制されない自営業
この人事院規則を読むと、自営業であっても「副業」と認定されないものがあると分かります。
それは、10キロワット未満の太陽光発電、または、収入が500万円未満の場合の次の事業です。
・5棟未満かつ10室未満の賃貸マンション経営
・10台未満の平面駐車場
これらを自営業として行う副業については、国家公務員法上の「副業」とは認定されません。すなわち合法的に副業可能ということになります。
さらに、実施するにあたって、所属官庁等の許可は不要です。
なお、上記以外の副業について、ばれても懲戒処分されるおそれの低い副業の方法を、別の記事に掲載していますので、参考にしてください。