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公務員の内定取り消しが認められる場合

公務員の内定の取り消しと、損害賠償請求との関係について解説します。

公務員の内定とは

民間企業の場合、採用試験→内定→就職というシンプルな手続きを経ます。

一方、公務員になるまでの手続きは、民間企業とは大きく異なります。

公務員という身分を得るためには、まず、採用試験に合格し、その後、採用名簿に名前が登録され、さらに、国家や地方公共団体から辞令が出されて任用されることにより、はじめて得ることができます。

一般的には、公務員の内定とは、採用名簿への登録を意味します。

民間企業における内定との違い

民間企業における内定は、採用日から働くという内容の労働契約を結ぶことを意味します。

一方、公務員の場合は、公務員試験は、合格しても、上記のように、採用名簿に名前が載るだけで、事前に労働契約を結ぶことはありません。

したがって、法的に、将来の採用(任用)が確約されるわけではありません。

この点については、疑問や問題意識をもつ方は多いと思いますが、公務員試験の合格者が、あくまでも単なる合格者にすぎないということは、最高裁判所の過去の事例でも確認されています(最高裁第一小法廷判決((昭55年(オ)第827号))。

損害賠償を請求できるか

内定が取り消されると、もう一度、公務員試験を受験しなければなりません。

時間損失の被害、精神的な苦痛を受けることになります。

しかし、一般的には、採用が無くなったからといって、国や地方公共団体に対し、採用を求めたり、採用取消しによる不利益を理由に賠償金を請求したりすることはできないと考えられています。

なぜなら、上述のように、「公務員試験への合格」イコール「採用」ではないからです。

公務員の内定の取り消しに対する備え

実際には、公務員の内定取り消しは、ほとんど無いようです。

急激に財政が悪化するなど、非常に限られた場合の話となります。

しかし、心配な方は、採用先に、自分の採用が確実かどうか、合格後に、電話などで確認しておくことをお勧めします。

担当者から「大丈夫です」などど返事があれば、安心することができるでしょう。