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公務員に転職するときに基本手当てや再就職手当て(失業手当)をもらう方法

私の知人が、基本手当をもらいながら転職活動をして、公務員に転職したときに、再就職手当ても貰っていました。

公務員も基本手当や再就職手当をもらえるのか?と疑問がありましたので、経緯などを確認してみました。

結果としては問題ないようですので以下に解説します。

公務員への転職を目指される方は参考にしてください。

知人が公務員になるまでの経緯と手当を貰っていた背景

知人は民間でサラリーマンをしていましたが、事情により、「いまの勤務先を辞めたい!」と考えたことをきっかけに、サラリーマンをしながら、公務員試験の勉強を始めました。

その後、知人は受験した公務員試験に合格しました。

知人は保険ができたと考え、すぐに、民間サラリーマンを退職し、無職になりました。

しかし、無職になったはいいものの、収入がないことが不安になり、すぐに、契約期間が数ヶ月のアルバイトを始めたそうです(雇用保険に加入できるフルタイムのアルバイトでした)。

そして、アルバイトの契約期間が終了した日の2週間後に、バイト先から、離職票を受け取り、それを持ってハローワークへいき、失業保険を申請しました。

基本手当てをもらいながら、公務員よりもより良い条件を求めて、民間企業の面接を受けるなどの求職活動を行っていたようです。

しかし、希望の民間企業からは内定がもらえなかったので、結局、公務員に就職したそうです(地方の市役所勤務)。

そして公務員に就職する際、再就職手当てを申請したら認められ、「もらえた」と話していました。

結果的には、知人は、公務員に転職するときに「基本手当て」と「再就職手当て」の両方をもらったことになります。

流れをまとめると、サラリーマン→無職→アルバイト(有期雇用契約)→無職→公務員 という流れです。

知人が「基本手当て」をもらえた理由

上に書いたように、まず、知人は、基本手当てをもらうために、アルバイトを離職後に、アルバイト先から発行された離職票をもって、ハローワークへいきました。

このときに、受付で、職員から、現在の状況を確認するために、いくつか質問されたそうです。

その質問の中に、「就職活動をしますか?」 とか、「企業の内定をもっていませんか?」などと質問されましたが、これらの質問に対しては、「就職活動をするつもりである。」、「内定はもっていない」と回答したそうです。

ここで、公務員試験の「合格」は「内定」と同じではないのか?と疑問に思われる方がいるかもしれませんが、公務員採用試験において、「合格」と「内定」とは異なるものですので、このように回答して問題ないようです。

その後は、初回講習への参加、雇用保険説明会への参加をしたあと(待機期間終了後)、数日分の基本手当てが、すぐにもらえたようです。

すぐに基本手当てがもらえたのは、アルバイトでの離職理由が、契約期間の満了によるものだったため、給付制限期間(ふつうは3ヶ月)が無かったからです。

さらに、実際に、求職活動を行いながら、ハローワークにいき、求職活動を行ったことを報告して、引き続き、基本手当てをもらっていました(雇用保険法15条2項と3項を参照)。

知人が「再就職手当て」をもらえた理由

知人は再就職手当てをもらうために、就職日の前日に、ハローワークへいきました。

第一回目の失業の認定日以前でしたが、問題ありませんでした。

そして、再就職して公務員になることを報告したところ、再就職手当ての申請書や、雇用状況証明書をもらい、帰宅しました。

再就職手当ての申請書には、内定日を記載する欄がありましたが、就職先の市役所の総務の人に、事情を説明し、就職日も、内定日も、同じ日付を記載してもらったそうです。

なぜなら、再就職手当てをもらう条件の一つには、 「ハローワークに最初に来た日よりも前に、雇用を約した事業主に雇用されたものでないこと」 という条件があります(雇用保険法施行規則82条1項を参照)が、内定日に公務員試験の合格の日付を書かれてしまうと、この条件を満たさなくなってしまい、手続きがややこしくなるからです。

その後、再就職手当ての申請書に加えて、採用証明書と雇用状況証明書を提出し、見事、再就職手当てがもらえたそうです。

一般的にはどうか

ただ、上記の知人の事例は、期間の定めのあるアルバイトをしていたので、少し特殊なケースでした。

ここで、一般的な、サラリーマン→無職→公務員という流れの代表的な事例をもとに、公務員への転職の際に「基本手当」や「再就職手当」を受給可能かどうかを考えてみます。

1.サラリーマンを退職後、転職活動をする一方で、並行して公務員試験を受験し、公務員試験に合格が決まった場合

このケースでは、転職活動中に、問題なく「基本手当」がもらえます。

また、再就職の時期など一定の条件を満たすことで「再就職手当」も問題なくもらえます。

ちなみに、「公務員は雇用保険に加入しないので、再就職手当がもらえない」という悪い噂が存在しますが、公務員でも再就職手当がもらえますので、安心してください。

参考に、雇用保険の加入と再就職手当ての関係についての記事をご覧ください。

⇒ 雇用保険の加入なしでも再就職手当てを受け取れます

2.サラリーマンとして勤務しながら公務員試験を受験し、合格後、公務員になるつもりでサラリーマンを退職した場合

このケースにおいて、形だけの求職活動をして「基本手当」を申請して受け取ることは、制度上はおそらく可能です。

しかし、もしも後から「実際には積極的に就職活動しようとする気持ちがなかった」と判断されると、不正受給を理由に返金請求をされたり、詐欺罪が適用されたりするおそれがあります。

また、手続き上、一定の条件を満たせば、再就職手当をもらうことも可能ですが、こちらも、不正受給や詐欺罪と判断されるおそれがあります。

もちろん、上記の知人のように、公務員の合格を保持する一方で、真剣に民間への就職活動も行う場合には、不正受給や詐欺罪には該当しません。