ヘッダー画像
  1. TOP
  2. 労働と法律
  3. 忙しい当直

忙しい当直は残業代がもらえる

現在、夜間の救急処置を受け入れる多くの病院では、医師、看護師、検査技師、放射線技師、薬剤師などが、当直業務(宿直業務ともいいます)を行っています。

内容としては、およそ8時間の日勤をこなした後、そのまま、夕方から明け方までの夜間業務に従事するというものです。

この当直業務は、たいして忙しくないものであれば、誰も不満を抱きません。

しかし、現状では、ほとんどの病院では、当直業務は大変過密で、仮眠もままならないという状況です。

そのうえ、仕事量のわりに、手当が少ないということで、不満の原因になっています。

法律上の問題

この当直業務は、労働基準法では、原則的には認められませんが、事業者が申請して、一定の基準を満たすことで、例外的に許可されます。

ここで、法律上は、当直業務とは、電話番や、施設の見回りなど、通常業務ではない、こまぎれ業務を意味します。詳しくは、厚労省の通達「医療機関における休日及び夜間勤務の適正化について」に記載されています。

この通達では、通常業務に近いことをしている夜間業務は、時間外勤務として評価されるべきであり、決して、当直として扱うべきではないと述べています。

したがって、夜間が忙しくて仮眠も取れないような病院の当直業務は、法律上の「当直」とは呼べず、「違法」と評価されることになります。

賃金との関係

繰り返しになりますが、当直業務が忙しいために「違法」と評価されるということは、言い換えると、夜間の労働が「勤務」と評価されるということです。

したがって、夜間業務に対する報酬は、時間外業務として考えた額を最低ラインとしなければなりません。

この点に関する有名な事件に、奈良県立医大の裁判例があり、この裁判では、医師に対して、当初支払われていた手当の額と、時間外勤務として計算した額との差額を支払うべきという判断が示されました。

問題の解決のためには

ちなみに、この法律問題を解消するためには、病院側は、二つの手段を取ることができます。

夜勤体制にする

ひとつは、夜間の体制を、「当直」ではなく、「勤務」にする方法です。

ただし、この方法は、週に約40時間の勤務の一部を、夜間に割り振る方法なので、昼間に勤務できなくなります。したがって昼間の人員が減るという問題があり、人員の補充が必要になります。

時間外勤務とする

もう一つは、勤務体制はそのままで、当直業務に対する手当額を、時間外勤務として計算した額と同等の額以上にすることです。

ただし、この方法も、人件費の増加になりますし、また、長時間勤務となるため休憩時間の確保が難しかったり、長時間労働による医療事故を起こす可能性を残してしまうことが問題です。