転勤・転籍・出向の違い
転勤
転勤は、「企業内人事異動」と呼ばれます。
すなわち、転勤は同一会社内での異動です。
転勤は、会社の人事異動の権利を行使するものです。
労働者としては、原則として、断ることはできません。
転籍や出向
転籍や出向は「企業間人事異動」とされています。
つまり、 雇用契約を締結していた会社からの業務命令によって、その会社以外の他社に赴いて労働することです。
「転籍」は、それまでの会社を退職します。
そして、新たに他社との間で雇用契約を締結します。
よく使われるのは、関連企業への転籍や、部門の独立法人化に伴う移籍です。
転籍の場合には、本人の同意が必ず必要です。
これに対して、「出向」は、退職を伴いません。
つまり、もとの会社に籍をおいたまま、他社に出向きます。
具体的には、出向元と出向先との合意により、出向元との雇用契約関係を維持したまま、出向先と出向労働者との間にも雇用契約関係を成立させます。
したがって、出向先の従業員としての地位も得るのとになります。
出向先で指揮命令を受けてその業務に従事することになります。
そして、出向先の就業規則に従って働くことになります。
残業時間の制約についても、出向先の36協定に従うことになります。
また、健康保険・厚生年金保険については、出向先ではなく、出向元での適用とするのが一般的です。
なお、出向を一方的に命じる場合には、 労働契約(就業規則)による出向命令の包括的承諾と根拠、業務上の必要性、人選の妥当性、出向手続の妥当性が必要になります。