公務員の副業は合法かもしれない理由
はじめに
公務員は、原則として、法律で副業が禁止されており、副業がばれると懲戒処分されてしまうのが現状です。
しかし、その副業禁止規定は、後述するように憲法違反の可能性があります。
ここでは、公務員の副業が合法であるかもしれない理由を紹介します。
公務員の副業と法律
給与が少ない中、何とか手取り収入を増やしたいと思っている公務員の方は多いと思われます。
思いつくのは副業ですが、公務員に関する法律である「国家公務員法」や「地方公務員法」は、副業を原則として禁止しています。
具体的には、国家公務員法103条1項(私企業からの隔離)と104条(他の事業又は事務の関与制限)、地方公務員法38条1項(営利企業等の従事制限)です。
副業したい公務員にとって、これらの法律が問題です。
なぜなら、この法律に違反したことを理由に、懲戒処分されてしまうからです。
ここで、意外かもしれませんが、公務員が副業することが真に違法なのかどうかは、まだ、はっきりとしていません。
というのは、公務員の副業を制限する法律そのものが憲法に違反している可能性があるからです。
その規定とは、職業選択の自由を定めた憲法22条です。
憲法22条は、すべての国民に対して、「公共の福祉に反しない限り、職業選択の自由を有すること」を保障しています。
言い換えると、公共の福祉に反するときには職業選択の自由が制限されることを規定しています。
ところが、何をもって公共の福祉に反すると言うのかについては、憲法には記載されていません。
したがって、「公共の福祉」の内容は、解釈に委ねられることになります。
副業の禁止が国家公務員法や地方公務員法で定められた当時は、おそらく、「副業をすると、体力や気力を使うため、本業の仕事の質が落ちる」、「民間業者と接触する機会を減らし、癒着や汚職などを防ぐ」などの理由で、公務員の副業は公共の福祉に反すると解釈されていたのでしょう。
しかし、公共の福祉の概念は時代とともに変わりますし、当時と現代とでは副業を取り巻く事情は大きく変わっています。
現代においてもなお「公務員の副業は公共の福祉に反する」と言えるのかどうかは、明確には分からない状況です。
事例にもよるかもしれませんが、もしも、副業を理由に処分された公務員が裁判所で徹底的に争い、最高裁判所にまで争いが持ち込まれた場合には、最高裁判所が、「公務員の副業を禁止することは違憲」と判断する可能性があります。
その場合、副業禁止を定めた法律は無効となります(憲法98条)。