心理学から見た企業選びの注意点-認知的不協和と態度変容
たとえば、ある人が、「私はタバコを吸っている」と認識している一方で、「喫煙者は肺がんになる可能性が高い」と理解しているとします。
このように、矛盾する二つの認知があることは、「認知的不協和」と呼ばれます。
認知的不協和は、不快感やストレスを生み出します。
そこで、人は認知的不協和があると、矛盾を解消しようとするため、都合のいいように自分の考え方を変えてしまいます。
これは「態度変容」と呼ばれています。
具体的には、自分を納得もしくは正当化できるように認知を変えたり、新たな協和する情報を集めたり、重要ではないことだと思い込んだりします。
タバコの例だと、「喫煙はストレスの解消になる」などと効果を強調したり、「タバコで肺がんになる確率はかなり低い」などと害を少なく見積もったりします。
就活と態度変容
企業選びでいうと、たとえば、自分の第一希望の業界とは違う業界の会社に応募するとき、認知的不協和になります。
金融業界に就職したいのに、インフラ業界の採用に応募するような場合です。
このとき、人は無意識のうちに矛盾を解消しようとします。
たとえば、「面接の練習のため」、「滑り止めだから」などと考えて自分を納得させようとします。
また、インフラ業界の仕事のやり甲斐に関する情報ばかりを集めて、採用への応募を正当化しようとします。
態度変容の弊害
就活では、たくさんの企業を受験するため、この認知的不協和が生まれやすくなります。
しかし、そのたびに自分を納得させたり正当化したりと、態度変容を繰り返すことには弊害があります。
それは、元々やりたかったことが不明確になってしまうことです。
先の例だと、就活の途中から、「インフラ業界も悪くない」などと思い始めてしまい、金融業界に的を絞り切ることができなくなってしまいます。
結果として、就活の効率が落ちてしまう危険があります。
対策
就活では、都合のいいように考えを変え続けていては、心に負担が溜まるだけで、本当の解決にはなりません。
この認知的不協和の問題を解決するためには、いやな気持ちを正直に受け止める必要があります。
そして、いやな気持ちが生まれた原因をよく考え、「自分が本当にやりたいことは何か?」と再度、自分に問いかけると良いでしょう。